狼社長の溺愛から逃げられません!
「あ、ありがとうございます」
嬉しい言葉に頭を下げる。
このまま考え込んでいてもいいアイデアは思いつかなそうだし、昨日は結局明け方近くまで頑張ったからさすがに疲れた。
早く帰ってベッドにもぐりこみたい。
古賀さんの言葉に甘えてさっそく帰る支度をしていると、スマホが震えだした。
画面を見ると彼氏の努からで、少し複雑な気持ちのまま電話に出る。
「もしもし」
もしかして、昨日のことを悪かったって謝ってくれるのかな、なんて思いながらスマホに当てた耳をすますと、聞こえてきたのはやっぱり身勝手な言葉。
『今日これからお前んち行くわ。何時頃仕事終わる?』
相変わらずな努に、心の中でため息をつく。
「もうすぐ終わるけど、昨日頑張って疲れてるから今日はゆっくり眠りたいなって……」
『はぁ!?』
言いかけた私の言葉を遮って、低い声が返ってきた。