狼社長の溺愛から逃げられません!

『なんだよそれ。俺と会うより寝てるほうがいいって?』
「そうじゃなくて、昨日残業であんまり寝れてないから……」
『お前ほんとワガママだよな』

うんざりしたようにそう言われ、言葉に詰まった。

私、ワガママなの?
悪いのは、私なの?

悲しさと悔しさで、じわりと目頭が熱くなる。
でもこんなことで泣くなんてくやしくて、ぐっと唇を引き結んでいると、大きなため息が聞こえていた。

『なに謝りもしないで黙ってんだよ。ふてくされてんの?』

私が謝らないといけないの?
悪いことなんてしてないのに。

そう言いたいけど、言ったら努はますます怒るだろう。
どうしていいのかわからなくて、途方にくれて黙り込む。

『なんか言えよ。ほんとめんどくせぇ』

なにか言えって言ったって、なにを言ってもきっと努は怒るんだ。
自分の思い通りにならないと、イライラする自分勝手な人。

付き合い始めたころは、こんな些細なことで怒ったりしなかったのに。
どうしてこうなってしまったんだろう。

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