狼社長の溺愛から逃げられません!
「そういえば、社長はどうして映画関係のお仕事をしようと思ったんですか?」
私が思い出してそう聞くと、社長は不思議そうに首をかしげた。
「突然どうした?」
「前に如月監督が聞いてみなって言ってたので」
「ふーん」
社長はそうつぶやくと、「そうだな」と少し考えるように首をかしげる。
「ガキの頃小さな島の田舎に住んでたんだけど、村で唯一の娯楽が教会を兼用した映画館で、その映写技師と仲良くなって……」
「それ、絶対嘘ですよね」
あからさまな嘘で誤魔化そうとする社長を、思わず睨む。
すると社長はちいさく笑ってため息をついた。
「本当は、ガキの頃入院してたときに見た映画がきっかけかな」
「社長、入院してたんですか?」
「あぁ。白いカーテンに区切られた狭い病室で、夜になると発作を起こして苦しかった。周りの人を起こさないように必死で息を殺して発作に耐えて、なんで俺ばっかりこんな目にあわなきゃいけないんだって悔しかった」
意外な言葉に私は目を見開いた。