狼社長の溺愛から逃げられません!
 

あの鬼社長が、わざわざアドバイスを?
そう思いながら閉じられた社長室のドアを見る。

「それから有川さん。社長があとで社長室に来るようにって言ってたよ」

そう言われ、体が強張る。
社長が私になんの用だろう。

今話していた『ルイーズ』のこと? それともまさか昨日の……?

なんだかすごく不安で、助けを求めるように隣にいた華絵さんを見ると、『ガンバレ』と声には出さず口を動かし、胸の前でガッツポーズをしてみせた。

ガンバレって、一体なにを頑張ればいいの……!

華絵さんにキラキラした表情で見送られ、涙目で私は社長室へ向かう。
綺麗な木目のドアの前で、私はごくりと息を飲む。

緊張と不安と恐怖と、なにがなんだかわからない感情で今すぐこの場から逃げ出したい気分だ。
だけどそんなわけにはいかない。勇気を振り絞ってドアを二回ノックする。

「有川です」

そう言うと、「入れ」と短く言われ恐る恐るドアを開いた。

ドアの隙間から中を窺うと、椅子に座った社長が『さっさと入ってこい』というように顎をしゃくる。
慌てて中に入りドアを閉めると、緊張して怯える私を見た社長は、ふーっと大きく息を吐き出した。

 
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