狼社長の溺愛から逃げられません!
仕事中だったのかな。
社長のデスクの上には、山のような英語の脚本。
洋画の配給をするうちの会社には、海外の映画製作会社やプロデューサーから、企画段階や製作中の映画の脚本がつねに送られてくる。
まだ制作に入っていない映画を、キャストや脚本だけで判断して買い付けすることも珍しくない。
実際に見てもいない映像を、ものすごい金額で買い付け契約を結ぶんだから、バイヤーの仕事は本当に大変だと思う。
「あの、社長。『ルイーズ』にアドバイスありがとうございます」
私がドアの前に立ちぺこりと頭を下げると、社長は視線をあげこちらを見る。
「アドバイスはしたけど、その先実際に売り込みをかけるのはお前だからな」
「はい! 頑張ります!」
素っ気なく言われて、私は勢いよくうなずく。
せっかくくれた社長のアドバイスを無駄にしないように頑張らなくちゃ。
そう思っていると、社長は脚本に目を通しながら口を開いた。
「あと、この部屋の灰皿と煙草を全部捨てておけ」
有無を言わせない命令口調に、「はいっ」と頷きかけ目を見開く。
灰皿と煙草を全部捨てる……?
あのヘビースモーカーの社長が……!?
「えっと……、いいんですか?」