狼社長の溺愛から逃げられません!
だって、社長にとっては煙草を吸いたいストレスを解消したいだけで。ただ近くにいた私に気まぐれでキスをしただけで。
このキスに気持ちなんて込められてないのに。
「どうした?」
ぶんぶんとすごい勢いで頭を横に振り続ける私に、社長が顔を傾けこちらをのぞきこむ。
整った顔に至近距離でみつめられ、「ひゃっ」と思わず跳び上がった。
「な、なんでもないですっ!」
叫ぶようにそう言って、社長室にあった灰皿と煙草をひったくるように胸に抱える。
「失礼します!」
勢いよく頭を下げ、社長室から逃げ出した。
自分の気持ちが分からなくて、今すぐ叫び出したい気分だ。
猛スピードでオフィスを突っ切り、ひと気のない非常階段へ向かう。周りに人がいないのを確認すると、体から力が抜けた。
へなへなと階段に座り込み、息を吐き出す。