狼社長の溺愛から逃げられません!
 

そのとき私たちのいる八階にエレベーターが到着して扉が開いた。

ここはスマートに社長にエレベーターを譲り、私は次に来るのを待とう。

そう決めて『どうぞ』と口を開きかけたとき、ぐっと腕を掴まれた。

「なにやってんだ。さっさと乗るぞ」

そう言って、有無を言わさずエレベーターに連れ込まれる。

密室に、ふたりきり……!
扉が閉まった途端、そう意識せずにはいられなくて勝手に体が強張ってしまう。そんな私を見て社長は意地悪に笑った。

「お前、なに警戒してんだよ」
「け、警戒しているわけでは……」

図星をつかれ視線が泳ぐ。そんな私に社長が詰め寄る。
じりじりと後ろに逃げようとしても、ここは狭いエレベーターの中。すぐに背中が壁について逃げ場を失った。

「お前、俺のこと避けてるだろ」
「う……っ」

またも図星で、視線をそらしながら口をつぐむ。

あの日、社長室でキスをされてから、どんな顔をして社長に会えばいいのかわからなくて、全力で社長の視界に入らないように避け続けてきた。
でも、あくまでも自然に仕事しながらさりげなく逃げていたつもりなのに、バレバレだったなんて。

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