狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「あ、電話? 出ていいよ」

古賀さんの気遣いに「ありがとうございます」と頭をさげながら画面を見ると、そこに表示された名前に驚いて体が強張った。

「どうかした?」

私の反応を不思議そうに見る古賀さんに、慌てて首を振りながら席を立つ。

誰もいない階段ホールにやってきて、改めて震える画面を見つめる。
なんで今更、電話なんて……。

『宮田努』別れた彼氏からの着信に、戸惑いながらスマホを耳に当てた。

「……もしもし」

人気のない階段に、私の声が妙に不安げに響く。

『あ、美月? 久しぶり。元気にしてた?』

てっきり前のような不機嫌な声が聞こえてくるかと身構えていたら、明るくそう話しだした努に驚いて黙り込む。

『今日お前何時に帰ってくんの? ひさしぶりに泊めてくんない?』

軽い口調でそう言われ、混乱して額に手を当てた。

「え……? うちに泊まるの? なんで?」

まるで私を振ったことを忘れたような脳天気なセリフに困惑する。


 
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