好きな人が現れても……
考えるな、と思考に急ブレーキをかける。
若い女子のことなど考えても、自分がどうにか出来る立場ではない。



普段通りの仕事をこなして、社食へ行こうと手を止めた。

先に出て行く女子達の中に、小さなバッグを握る横山の姿を見つける。


緑色の生地に黄色い水玉模様のバッグの中身は何だろうか。
こっちは今日も母の作った子供用の弁当の残りが入ってるだけだが、向こうは何のご馳走だろう。


(昨日の南蛮漬けは美味かったよな。あんなのが毎日食べれると幸せだな)


思考を止めていたにも関わらず、思い出すと口の中に溢れる唾液。

溢れてきても深い溜息しか出すものがなく、弁当と水筒だけを手にして立ち上がった。


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