羽をくれた君へ。
魁音がリクさんに言うと、リクさんと美紅さんは部屋から出て行った。


私は魁音に抱きつく。


「・・・・・・・・・・・雫?」


「お願いっ。今だけ、今だけでいいからこのままでいて。」


私がそう言うと魁音は私のことをぎゅっと抱きしめた。


夏で暑いのに、ごめんね。


私は心の中でそう言うと眠りについた。


私の寝てる合間も魁音は私の頭を撫でてくれた。






翌朝、目を覚ますと私はソファに寝ていた。


下を見るとソファにもたれかかって寝ている魁音。


あぁ、私にソファ貸してくれたから。


ごめんね。


私がソファから降りようとすると手を掴まれた。


「どこ行くの?雫。」


「え?別に・・・・・・・・。離して、魁音。」


「やだ。・・・・・話したらきっと雫はいなくなる。」


そんなことない、とは言えないけど。


すると扉が開いて中からリクさんが入ってきた。


「おっ、2人とも起きてんのか。・・・・・飯、一応あるから食えよ。」


魁音は私の手を引いて歩きだした。


「雫。昨日何も食べてないんだから今日食べないとダメだよ。」


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