渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~



「このままでは、俺はガイアスに殺されそうだ。英雄王とまともにやり合ったら、ひとたまりもないだろう」

「ハミール」

「怖い、そんな睨むな。さすがに、親友の想い人を後宮に連れていくほど、非道ではないぞ?」

「でも、お前……本気だっただろ」


(親友……?あぁ、だからこんな風に、お互いに遠慮せず、感情をぶつけ合えるのね)

初めて知った事実に、カルデアは驚く。


「親友のために身を引くが、お前達はなかなかに拗れているようだ。たった一人に絞るから、苦しむというのに」


「ハミールには関係ないだろう。俺には、何人も妻も娶るお前の気の方がが知れない」


アルハジャール国は一夫多妻制だ。
加えて、妻が多いほど権力の象徴になる。

おそらく、そのような体制をとっているのは、大陸中探してもアルハジャール国くらいだろう。


「そうか? 替えは利くし、飽きもしないから、一夫多妻制は良いそ。なにより、世継ぎの心配はないからな、ナディア国にも取り入れる事を進める」


開き直っているハミールに、ガイアスは心底軽蔑するような視線を向けて、舌打ちをした。


「お前の場合、法律がどうこういう前に、人間性に問題があるとしか思えない」

「ガイアスも、一度試せばわかるって」

「くどい!」


ガイアスはピシャリと冷たく言い返して、今度はカルデアに視線を戻した。

肌で感じる、ピリピリとしたガイアスの怒りに、カルデアは圧倒される。


「なぜ……あのような事を言ったんだ」

「……それ、は……」


(ハミール様の提案をのむと、言った事よね……)

ガイアスの視線は、明らかにカルデアを責めるものだった。

その視線に萎縮しそうになりながらも、カルデアはなんて説明するべきかを考える。


< 102 / 205 >

この作品をシェア

pagetop