渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「このままでは、俺はガイアスに殺されそうだ。英雄王とまともにやり合ったら、ひとたまりもないだろう」
「ハミール」
「怖い、そんな睨むな。さすがに、親友の想い人を後宮に連れていくほど、非道ではないぞ?」
「でも、お前……本気だっただろ」
(親友……?あぁ、だからこんな風に、お互いに遠慮せず、感情をぶつけ合えるのね)
初めて知った事実に、カルデアは驚く。
「親友のために身を引くが、お前達はなかなかに拗れているようだ。たった一人に絞るから、苦しむというのに」
「ハミールには関係ないだろう。俺には、何人も妻も娶るお前の気の方がが知れない」
アルハジャール国は一夫多妻制だ。
加えて、妻が多いほど権力の象徴になる。
おそらく、そのような体制をとっているのは、大陸中探してもアルハジャール国くらいだろう。
「そうか? 替えは利くし、飽きもしないから、一夫多妻制は良いそ。なにより、世継ぎの心配はないからな、ナディア国にも取り入れる事を進める」
開き直っているハミールに、ガイアスは心底軽蔑するような視線を向けて、舌打ちをした。
「お前の場合、法律がどうこういう前に、人間性に問題があるとしか思えない」
「ガイアスも、一度試せばわかるって」
「くどい!」
ガイアスはピシャリと冷たく言い返して、今度はカルデアに視線を戻した。
肌で感じる、ピリピリとしたガイアスの怒りに、カルデアは圧倒される。
「なぜ……あのような事を言ったんだ」
「……それ、は……」
(ハミール様の提案をのむと、言った事よね……)
ガイアスの視線は、明らかにカルデアを責めるものだった。
その視線に萎縮しそうになりながらも、カルデアはなんて説明するべきかを考える。