渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「……いや、やっぱりいい。今は何を聞いても、お前を責めてしまいそうだ」
「あっ……」
ガイアスが怒りを抑え込むように、強く拳を握りしめている事に、カルデアは気づいた。
本気でガイアスを怒らせてしまったと、カルデアは落ち込む。
「少し、距離を置こう」
「えっ……」
ガイアスは、悲しげにカルデアに背を向けた。
いつも、カルデアを追いかけてきてくれるガイアスに、初めてされた拒絶に、カルデアはどうしたらいいのかわからずに戸惑う。
「いか、ないで………」
(ガイアス様が行ってしまう……!)
その一心で、カルデアはポツリと呟いた。咄嗟に、遠ざかるガイアスの背に手を伸ばす。
しかし、ガイアスの歩くスピードの方が僅かに早く、その手は宙を切った。
「ガイアス様っ……」
それでも、堪らなくなって名を呼んだカルデアに、一瞬、ガイアスは足を止めた。
しかし、耐えるように拳を握りしめると、ガイアスはハミールと大臣達を連れて、振り返る事なくその場を去ってしまう。
「ううっ、ガイアス様………っ」
カルデアは隠す事なく涙を流し、地面にしゃがみ込んだ。
心のどこかで、ガイアスは戻ってきてくれるに違いないと思っていたカルデアは、ショックだったのだ。
「カルデア様っ!」
いつからそこに居たのか、マオラがカルデアの背中に手を置いて摩る。
もしかしたら、マオラはずっとここにいて、話を聞いていたのかもしれない。
それに気づかない程に、カルデアは気が動転していた。