渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「マオラ、私はガイアス様に嫌われてしまったかもしれませんっ……」
「カルデア様……ガイアス様は、カルデア様を嫌ったりしませんよ!」
(でも、私は……ガイアス様を傷つけてしまったわ。もうきっと、目も合わせてくれない……っ)
両手で顔を覆って涙を流すカルデアを見て、マオラまで悲しくなり、泣きそうになった。
それでも泣かなかったのは、自分の仕える主を、なんとか慰めたいと思ったからだ。
「カルデア様は何故、ハミール様のお誘いをお受けしようとしたのですか?」
悲しげに尋ねられた質問に、マオラが話を聞いていたのだと、カルデアは確信した。
(誘いを受けた理由なんて、一つしかない)
「ガイアス様を……好きにならないために……」
「カルデア様……」
マオラは、失礼だがガイアスの片思いだと思っていた。
しかし、ガイアスとカルデアが両想いであった事に気づくと、マオラは驚きながらも嬉しい気持ちになった。
「カルデア様、どうしてガイアス様を好きになってはいけないのですか?」
その問いに、カルデアは話す事を躊躇った。
言葉にするという事は、その事実を受け止めるという事。
それが、カルデアは怖った。
しかし、自分だけで抱えるには、この想いは重く苦しい。だからこそ、カルデアは妹のような存在のマオラを頼り、話す事を決めた。
「一度嫁いだ身であり、貧困国出身の私では、この国に政治的な利益をもたらせないのです。むしろ、この国の重荷となりましょう」
自分の過去を嘆いても消せない事が、何よりカルデアは辛かった。
それを、これから添い遂げる相手には必ず、背負わせてしまう自分の事が、たまらなくカルデアは嫌になった。