渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


「ふっうう……っ」

「カルデア……っ、くっ……ハミール!!」


空気が震える程に低い声で、ガイアスはハミールの名を責めるように呼び、キッと睨みつける。

今にも腰に刺した剣を抜きそうな程、ガイアスは怒りに震えていた。


「今度カルデアに手を出したら、殺すと言ったはずだ!」

「いやぁ、怖いな。俺はひと肌脱いだつもりだったんだが……」

「余計な事をするな!カルデアを泣かせるなど、余程命が惜しくないと思える!」


ガイアスの目は完全に血走っており、ハミールは笑顔を貼り付けながらも、冷や汗をかいていた。


「悪かった、冗談が過ぎた」

「……お前の顔など見たくもない、失せろ!」

「わかった、わかった」


ハミールは苦笑いで踵を返す。

英雄王の武勇伝は他国にも伝わっており、ガイアスの怒りを買えば、国が滅ぶとさえ噂されていた。

だからハミールも、ガイアスを本気で怒らせたのを悟り、言われた通りにその場を立ち去ったのだ。

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