渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「ガイアスっ……」
「おや、目が覚めましたかな、王妃様」
床に座り込み、愛しい夫の名前を呼んだカルデアの視界に、仕立てのいい革靴がピッタリと目の前で並んだのが見えた。
カルデアは恐る恐る顔を上げると、格子の向こうにいたその人物の姿を確認して驚愕する。
「ルドルフ大臣……!」
「はい、その通りでございます」
両手を後ろに組んで、さも当然のように答えるルドルフ大臣に、背筋がゾワリとする。
人の良さそうな顔だと思っていた笑顔が、今や恐怖しか感じない。
(そうだ、初めからおかしかった。ガイアスの事を別の大臣が呼びに行ったにせよ、私の目の前の露店にいたのだから、別々に帰る理由なんて無いはず……)
「……私を攫って、何がしたいのですか?」
「聡いですね、王妃様は。すぐに状況を理解し、恐れる事なく、首謀者の私に足りない情報を得ようとする。他の王族の娘には出来ないでしょうな」
関心したように拍手をするルドルフ大臣に、カルデアは不快な気持ちで眉をひそめる。
(私は、どうして騙されてしまったの……浅はかな自分の行動に、嫌気がさすわ)