渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「この船は、奴隷船です」
カルデアは後悔に溺れそうになる思考を、慌てて断ち切り、目の前のルドルフ大臣を見据える。
「ど、奴隷船……?」
ルドルフ大臣の言葉に耳を疑って、カルデアは聞き返した。
言われて見て初めて、カルデアは周りを見渡す。
すると、牢屋のようなモノが他にも沢山、この船底部屋にはある事に気がついた。
「行き先は、アルナデール国ですよ」
「なっ……まさか、私を奴隷として国に売るおつもりですか?」
(アルナデール国から届いたあの書簡、目的は私だった)
アルナデール国からすれば、奴隷でも多額の金を出してカルデアを買うだろう。
それ以上の利益を、ドアーズ国から得るために。
その考えに辿り着いたカルデアは、無意識に格子から後ずさるようにして距離を取る。
「ご名答ですよ、王妃様」
また、ルドルフ大臣の乾いた拍手の音が船内に響き渡る。
それを聞く余裕すらなく、カルデアは焦っていた。
(アルナデール国に戻れば、二度とガイアスには会えなくなる……っ)
考えただけで、身を引き裂かれるような痛みが襲い、カルデアの心を苦しめた。