渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
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「クソッ……!!」
カルデアが奴隷船に攫われたのを突き止めたガイアスは、苛立たしげに船縁を強く殴った。
月夜の下、この船は今、奴隷船を追いかけている。
軽い船体を選び、最高速度が出せる船を用意した。
(なのに、まだなのか……奴隷船は!!)
ガイアスは進行方向の、無限に広がる海を睨みつける。
シュドによって、カルデアが奴隷船に攫われた事を聞いた時は、怒りに目眩がして、気が狂いそうだった。
今、こうしてガイアスが立っていられるのは、カルデアを守るという誓いだけ。
希望だけは捨てずに、一心不乱に後を追っているのだ。
「奴隷船だなんて、反吐が出ますね」
「シュド」
振り返れば、まるで親の敵でも見るかのような殺意を宿した視線で、俺と同じく海を睨みつけているシュドが立っている。
シュドは奴隷だった。 その時の事を思い出しているに違いないと、ガイアスは悟る。
「ルドルフ大臣が手引きしていたとは、驚きですね」
「あぁ、議会で様子がおかしいと気づいていたはずなのに……今回は完全に俺の落ち度だ」
(俺の浅はかさが、カルデアを危険に合わせたのだ)
ルドルフ大臣に対しての怒りは勿論あるが、一番許せないのは、気が緩んでいた自分自身だった。