渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「カルデアに何かあったらとでも思うと、気が触れそうになる……!」
(そんな事になれば、俺は剣を憎しみに任せて振り回すだろう)
「短時間でも、カルデアを一人にした自分を殴りたい」
あの時カルデアを一人にしたのは、カルデアへの贈り物を買うためだった。
カルデアを驚かせたくて秘密裏に手に入れようと、カルデアを、置いて露店に入った。
叫べばすぐに気づける距離だったし、気配には敏感なため、大丈夫だろうと軽く見てしまったのだ。
「見知った人間であれば、カルデアは何の疑いもせずに着いて行ってしまうだろう。そんな事、馬鹿でも考えつくというのに!」
ガイアスは、烈火のごとく憤激する。
それ程、ガイアスの中でカルデアの存在は大きく、絶対的な強さを誇る英雄王の唯一の弱点でもあった。
「カルデア様はお美しい。売り飛ばされる前に、傷つけられる可能性もあります。無事だと良いのですが……」
シュドは、自らの体を無意識に抱きしめる。
気丈に振る舞う様も痛々しく、ガイアスはその肩に優しく手を置いた。
「シュド、その時は俺があの奴隷船を燃やし尽くし、海の藻屑として沈めてやる」
「っ……!」
「だから、もう過去に震えるな。お前は、誇り高きナディア国の宝であり、俺の気高き側近だ」
「……はは、怖いお人だ、ガイアス様は」
シュドが目を見開いて、クシャりと表情を歪めたのは一瞬で、すぐに平静を取り戻し、いつもの皮肉を口にした。
それでこそシュドだと、ガイアスは頼もしい気持ちになる。