渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


「お前が攫われたと知った時、憎しみに気が狂いそうだった……!」

「私も……この身が穢されそうになって、真っ先にあなたの姿が浮かんで……悲しくて、おかしくなりそうだった……っ」


カルデアはガイアスに負けないくらいに強く、その背に腕を回して抱きついた。

(もう二度と、この腕の中には帰れないと思っていたのに……)



「良かった……あなたともう一度会えて……っ」

「もう二度と、お前をこんな目には合わせない」


ガイアスは誓うように、その存在を確かめるようにしてカルデアの頬を指先でなぞる。


「ガイアス、私はあなたがいたから無事なのよ。だから、もう自分を責めないで、守ってくれてありがとう」


「カルデア……あぁ、お前を守れて本当に良かった。本当に……愛しているっ」


ガイアスは荒々しく、気持ちをぶつけるようにカルデアの唇に口付けた。

まるで、消毒をするかのように、頬や額、瞼や首筋にまで口付けていく。


「たとえ、その身が傷つけられても、お前の心が美しい限り、穢れる事は無い。お前は……いつも、如何なる時も、美しい……」

「んっ……」


ガイアスは、またカルデアの唇に口付けると、名残惜しそうに離れる。

そして、額を重ねるようにして見つめ合った。

< 166 / 205 >

この作品をシェア

pagetop