渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「お前が攫われたと知った時、憎しみに気が狂いそうだった……!」
「私も……この身が穢されそうになって、真っ先にあなたの姿が浮かんで……悲しくて、おかしくなりそうだった……っ」
カルデアはガイアスに負けないくらいに強く、その背に腕を回して抱きついた。
(もう二度と、この腕の中には帰れないと思っていたのに……)
「良かった……あなたともう一度会えて……っ」
「もう二度と、お前をこんな目には合わせない」
ガイアスは誓うように、その存在を確かめるようにしてカルデアの頬を指先でなぞる。
「ガイアス、私はあなたがいたから無事なのよ。だから、もう自分を責めないで、守ってくれてありがとう」
「カルデア……あぁ、お前を守れて本当に良かった。本当に……愛しているっ」
ガイアスは荒々しく、気持ちをぶつけるようにカルデアの唇に口付けた。
まるで、消毒をするかのように、頬や額、瞼や首筋にまで口付けていく。
「たとえ、その身が傷つけられても、お前の心が美しい限り、穢れる事は無い。お前は……いつも、如何なる時も、美しい……」
「んっ……」
ガイアスは、またカルデアの唇に口付けると、名残惜しそうに離れる。
そして、額を重ねるようにして見つめ合った。