渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


「どんなカルデアも、俺の愛した女に違いない」

「ガイアス……ありがとう」


(あなたがそう言ってくれるから、私はきっと……自分のせいだと、自分を嫌わずにいられるんだわ)


ガイアスはカルデアの手を握り、支えるようにしてその場に立たせた。

そして、自分のローブをカルデアに着せて、顕になった肌を隠した。


「ここは、海水がだいぶ入り込んでいるな、抱えるぞ」

「えぇ……」


ガイアスはカルデアを横抱きにして抱き上げた。

そして、揺れる船体にも動じず、ガイアスはどんどん階段を上がっていき、甲板へと出る。


「ガイアス様、ルドルフ大臣含む、奴隷船の看守達を全員捕えました」

「カルデア、お前はここで待っていろ。見ていて気持ちいいものではないからな……シュド、案内しろ」


ガイアスはカルデアを下ろして、シュドと甲板中央へと歩いていく。


(ガイアスは、私とルドルフ大臣を会わせたくないのね……)

カルデアも会いたいわけではなかったが、国の為に手を汚したルドルフ大臣の事を責める事は出来なかった。


その背中を見送りながら、カルデアは落ち着かない様子で立ち尽くす。

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