渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「ガイアス、駄目!」
「なっ……カルデア、何故邪魔をする!?」
ルドルフ大臣を守ったカルデアに、ガイアスは目を白黒させて、静かに剣を下ろした。
「ガイアス、やり方は極端ですが、ルドルフ大臣はナディア国のためにその手を汚したのです」
「なんだと……?」
「ルドルフ大臣」
カルデアはルドルフ大臣の前に両膝をついて、静かにその目を見つめた。
「あなたに手を汚させる道を選ばせてしまい、本当に申し訳ありません」
「っ……なぜ、王妃様が謝るのですか。あなたは、私を殺したい程憎むはず」
カルデアを驚いたように見つめるルドルフ大臣。
そんなルドルフ大臣を見て、カルデアは首を横に振った。
「その選択をさせた事自体が、私の責任です。もっと、あなた方に理解して貰えるように動くべきでした」
(なのに部屋に篭って、自分の身の上を嘆くばかり……。私より不安なのは、国の重臣達だというのに)
「ガイアス、ルドルフ大臣を罰するというのなら、私も同罪だわ」
「王妃様……」
必死な顔でガイアスを見上げるカルデアに、その場にいた全員が、心洗われるような気持ちになっていた。
そんなカルデアに、ガイアスは深い溜め息をつく。