渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「見た目だけでなく、カルデア様は私のような侍女にまで、優しいのです。まるで、姉がいたらこんな感じかなぁなどと、恐れ多い事を考えてしまうくらいに」
「マオラ……」
カルデアの事を話すマオラは、本当に大好きな姉の話をするかのように、誇らしげだった。
それだけで、カルデアがマオラにどんな風に接しているのかが手に取るようにわかる。
「確かに、カルデア様は私のような側近や使用人たちにも敬語ですしね。敬われる生活に、慣れていないのでしょう」
一瞬、シュドの表情が影ったように見えた。
シュドは奴隷出身だ。
幽閉されていたカルデアに、何か思う所があるのかもしれないと、ガイアスは思った。
「……カルデアは時々、町娘のような無邪気さを見せる」
ガイアスは、過去に思いを馳せているだろうシュドの思考を断ち切るように、話題を微妙に逸らした。
「王女様を町娘なんて呼ぶのは、いささか抵抗がありますが、私にもわかりますね」
(過去に囚われるのは、シュドの悪い癖だな)
そんな事を思いながら、話に食らいついたシュドに言葉を続けた。
「船に乗ったカルデアの目と来たら、キラキラ輝いていたな」
ガイアスは、船でしたカルデアとの会話を思い出す。
船に乗った時、海を見つめて冒険しているみたいだと無邪気に言ったカルデア。
王女という鎧さえ無ければ、本来は明るい性格なのだろう。