渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「そう、ビスカ……というのですね……」
アルナデール国でも、イナダール国でも見たことがない、ルビーの宝石のように美しい花だった。
「なんて、美しい光景でしょう……!」
「お気に召したか、カルデア?」
「ええっ、本当に嬉しいですっ」
(どんな贈り物より、嬉しいわ……)
目を輝かせるカルデアに、ガイアスは満足そうに頷いた。
そして、カルデアをそっと、ビスカの花畑の中へと下ろす。
「ガイアス様は、私の欲しいものをマオラから聞いたのですね」
「あぁ、本当にお前は、欲のない女だ」
「そうでしょうか?でも私は、この景色がドレスや宝石よりずっと……嬉しいのです」
物はいつか壊れる。
そして、戦があったり、何かあった時に常に持ち歩けず、残していく事がほとんどだった。
(でも、思い出はずっと、この胸に残るものね……)
「あぁ、高価なモノではなく、この景色を望んだお前の気持ちが、ここへ来てわかった気がする。お前と見るビスカの花は、どんな宝石よりも美しく、尊い」
「ガイアス様……」
「でも、俺一人では駄目だ。カルデア、お前が隣にいるからこそ、この景色には価値が生まれる」
ガイアスは、カルデアをまっすぐに見つめた。
その瞳は、ビスカの花と夕日の朱のせいか、燃えるような炎を宿しているようにも見えた。