渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「王の気まぐれでも、戯れでもない。カルデア、俺がお前を愛している事だけは、その胸に覚えておけ」
そう言って、ガイアスはカルデアの白く細い手首を掴み、引き寄せると、その唇で吸った。
「あっ……」
「叶うなら、俺の存在が消えぬように、お前の身に跡を刻みつけたいが……これで我慢だ」
甘く痺れるような痛みが手首の裏、柔い肌に走る。
ガイアスが名残惜しそうにその唇を離すと、そこにはガイアスによって咲いた朱い花が刻まれていた。
「ほら見ろ、ビスカの花が咲いたぞ」
「ガイアス、様……っ」
カルデアの手を取ったままの、身を屈めたガイアスが、妖艶に舌なめずりをし、微笑む。
心臓が荒れ狂うように鼓動する苦しさに、カルデアはゆっくりと息を吐き出して耐えた。
「頬が赤いな、カルデアは肌が白いから、朱が目立つ」
「っ……からかわないで、ください……っ」
「可愛い女だ、ますます手に入れたくなった」
(ガイアス様は、強引だわ。けれど……私の意志を尊重してくれている)
それがわかるのは、結婚の事だ。
権力を振りかざせば、カルデアを妻にする事は、簡単なはずなのに、ガイアスはそうしなかった。
それは、敗戦国に対する奴隷や捕虜としての扱いではなく、たった一人の人間として向き合う、ガイアスの姿勢に、カルデアは心打たれていた。