渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「悲しみ、苦しむ……泣かないでいるなど、無理です。それに、神に民の気持ちは理解出来ないでしょう」
「カルデア……」
「同じ人だからこそ、民の心を理解してあげられるのでは?」
そう信じて、カルデアは民の暮らしを真似た。
王女という立場では、あの雪国で、井戸から水を引く手の痛みや、米や麦の荷の重み、お腹の空腹感もわからなかった事だろう。
「経験しなければ、共感など出来ない。ただの想像でしかないのです」
カルデアの言葉には、説得力があった。
それは全て、自身が貧困国の出身であり、使用人として扱われた過去があったからこそ、言える事だ。
そんなカルデアに、ガイアスは「……これは、驚いたな」と、声を漏らした。
「人だからこそ、か……。お前の言葉が、心から正しいと思ったぞ」
「ガイアス様……」
頬に触れたカルデアの手に、ガイアスは自分の手を重ねて、楽しげに笑う。