渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
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執務室に戻ったガイアスは、濡れた髪もそのままに書類にサインをしていく。
いつもなら薙ぎ払いたくなる書類の山も、今だけは気を紛らわせる物があって良かったとガイアスは思った。
「はぁ……」
(全然、カルデアを喜ばせられなかったな……)
ガイアスは書類をさばく手はそのままに、今日一日の失態を思い出して、深い溜め息をついた。
「気もそぞろですね、ガイアス様。それでも執務には支障出さないあたり、尊敬しますよ」
「女を喜ばせる方法が全然わからん」
言葉にはしないが、カルデアの顔は終始強ばっていた。
それでも嫌な顔ひとつせずに、後をついてくるカルデアに、ガイアスはかなり落ち込んでいた。
「あぁ、カルデア様の部屋に強行突破したり、鷹狩に連れて行ったと思えば、ぐったりしたいたいけな兎を自慢げに見せびらかしたりした事ですか」
「お前のその情報網が、時々恐ろしくなるぞ、俺は……」
(どの場面にも居合わせなかったというのに、どうしてシュドにはわかるんだ……?)
「あなたの側近ですからね、監視はぬかりないですよ」
シレッと恐ろしい事を言う側近に、ガイアスは"コイツだけは絶対に敵に回したくない"と心の底から思う。