熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
午後二時半。
比較的中途半端な時間だからか、この時間はトイレも空いている。
私は化粧台の前にポーチを乗せて、顔を鏡に映しながらファンデーションを手に取った。
この季節は皮脂の分泌量が抑えられるから、それほどこまめに直さなくても、大きな崩れはない。
パウダーを頬に叩いて軽く整えていると、後ろから「お疲れ様」と声をかけられた。
「あ、お疲れ様です」
振り返って確認するまでもなく、鏡越しに目が合った。
秘書室の先輩、聡子さんだった。
ニコッと笑う彼女に笑い返しながら、ほんの少し頬が引き攣るのを自覚した。
考えてみれば、私と優月の微妙な様子を見られたのはつい昨日のことだった。
二人して真っ赤な顔でエレベーターから降りた理由……。
興味津々に探りかけられて、不自然だとわかっていながら交わして逃げ出したけど、あれ以来まともに顔を合わせていなかった。
ニコニコしながら近寄ってくるあたり、一日経った今でも聞く気満々なのが感じられる。
「ねえ綾乃ちゃん。……もしかして、社長と婚約解消したって嘘だったの?」
だけど、聞かれたのは、予測して身構えたことではなかった。
「え?」
私はファンデーションを手にしたまま、顔を横に向ける。
比較的中途半端な時間だからか、この時間はトイレも空いている。
私は化粧台の前にポーチを乗せて、顔を鏡に映しながらファンデーションを手に取った。
この季節は皮脂の分泌量が抑えられるから、それほどこまめに直さなくても、大きな崩れはない。
パウダーを頬に叩いて軽く整えていると、後ろから「お疲れ様」と声をかけられた。
「あ、お疲れ様です」
振り返って確認するまでもなく、鏡越しに目が合った。
秘書室の先輩、聡子さんだった。
ニコッと笑う彼女に笑い返しながら、ほんの少し頬が引き攣るのを自覚した。
考えてみれば、私と優月の微妙な様子を見られたのはつい昨日のことだった。
二人して真っ赤な顔でエレベーターから降りた理由……。
興味津々に探りかけられて、不自然だとわかっていながら交わして逃げ出したけど、あれ以来まともに顔を合わせていなかった。
ニコニコしながら近寄ってくるあたり、一日経った今でも聞く気満々なのが感じられる。
「ねえ綾乃ちゃん。……もしかして、社長と婚約解消したって嘘だったの?」
だけど、聞かれたのは、予測して身構えたことではなかった。
「え?」
私はファンデーションを手にしたまま、顔を横に向ける。