熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「そ、そんなんじゃないです! 今朝はもちろん、今までだって……」

「今までは社長とその許嫁の関係を、わざわざツッコんで噂するような社員はいなかったけどね。綾乃ちゃん、社長秘書だし。もちろん仕事上成り行きってこともあるだろうけど。世の中、心の狭い寂しい人間って割と多いから。本当に婚約解消したなら、変な誤解を招くようなことはしない方がいいわよ」

「う……」


聡子さんが言うことは、私もちゃんと理解できた。


つまり、婚約は解消しておきながら、私と優月の『関係』は続いている。
そう見られる可能性もあるということだ。


ちょっと前までは、人に見られることを気にしたこともなかった。
それは、実際私と優月にやましいことが何もなかったせいでもあるし、聡子さんの言う通り、噂されることもなかったからだ。


でも今後は違う。
私と優月は恋を始めたけれど、世間一般的には社内恋愛って隠すものだと聞いている。
『婚約解消』が知られている手前、妙な噂は、私はともかく優月にとってマイナスになる。
普通の恋人同士として始めるからには、今まで普通にしていたことにも、気を付けなきゃいけないんだ。


「……聡子さん、ありがとうございます。本当に誤解されるようなことはないんですけど、私も社長も気を付けます……」


殊勝な気分で肩を竦めると、聡子さんはクスッと笑った。
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