熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「『過保護な兄貴』から脱却して『男』になれるように、頑張るから」


優月はちょっと照れ臭そうにはにかみながら、私の肩にかかった髪に指を通した。
肩口で髪をそっと揺らす優月の手を意識しながら、私は彼を見上げていた。


「……なんで優月が頑張るの?」

「え?」


ふと胸を過ったそんな疑問が、無意識に口を突いて出ていた。
聞かれた優月も、私が何を不思議に思っているかわからないのか、少し虚を衝かれたかのように目を丸くしている。


「だって。優月言ってた。年の差も理由にして、私を女として意識しないようにセーブしてたって。絶対手を触れない不可侵領域」


自分の記憶に答えを見つけて、私はちょっとムキになってそう畳みかけていた。
優月がわずかに息をのんだのが、その気配からも伝わってくる。


「聖域だから、過保護に大事にしても、今まで恋の相手にはできなかった。まだ混乱してる、恥ずかしいって」

「……あ」


私の記憶違いではないことを証明するかのように、優月が口に手を当てて短い声を放った。


「だから、頑張るのは私でしょう? 優月に好きになってもらわなきゃ。『手放せない』って言葉、保護者としてじゃなくて、ちゃんと恋人として言ってもらう為に……」

「こうなると無限ループだな。綾乃、確かに俺はそう言ったけど、綾乃の解釈はちょっと違うんだ」

「え?」
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