熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
優月は口を手で隠したまま、私からわずかに視線を逸らしてそう言った。
勢いに任せて声を張ったところを遮られ、私は一瞬きょとんとしてしまう。


「年の差はただの言い訳。混乱したのも恥ずかしいのも事実だけど……それは言ったろ? 理性を総動員して、意識しないようにしてたから」

「……え?」

「俺は婚約解消を告げられた時から、葛藤していた。今までずっと隠していた熱情を、抑えられなくなって。綾乃を誰にもやりたくないって気持ち一つになって、進藤に奪われたお前のファーストキスを上書きしたりした。それでタガが外れたとは言わないけど、理性で抑え込む必要もなくなった」


優月の言葉に、私の反応は一瞬遅れた。
そんな私に、彼はちょっと照れ臭そうにはにかむ。


「もう俺にとって、綾乃は妹なんかじゃない。ちゃんと、俺が恋する女だよ」


優月はそう言って、スラックスのポケットに両手を突っ込んだ。
私は胸をドクンと跳ね上がらせる。


『俺が恋する女だよ』のたった一言でも、優月が言うから、私にとって胸を揺さぶる強烈な言葉になる。
今までずっと、優月は私にとって、たった一人の男の人だったんだから。


神様が作ったエデンの園で、お互いに恋をする為に生まれたアダムとイブ。
そんな想像が頭の中に広がって、私の胸はドキドキとすごい勢いで加速する。
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