熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「返される方が困るから。受け取って、綾乃」


優月はそう言いながら、箱の中からペンダントを摘み上げた。
そして、まだ戸惑っている私の後ろに回り、ペンダントを首にかけてくる。


「もらっちゃっていいの?」


ちょうど喉元に降りるペンダントトップを軽く手で押さえながら、私は背後の優月を肩越しに振り返った。


「もちろん。着けてあげるよ」

「……うん。ありがとう、優月」


そう言われてしまえば、これ以上固辞するのも悪い。
今度何かでお返ししよう。
そう考えながら、私は優月に笑顔を見せた。
優月も笑みを浮かべたまま目を細める。


「綾乃。ちょっと髪どかして」

「うん」


そう言われて、私は背中に半分垂らした髪を、片手で一つに纏めて右に寄せた。
チェーンを繋いでくれる優月の指先が、首筋を掠めてちょっとくすぐったい。


「……んっ」


堪えていたのに、一瞬小さな声が漏れ、それと同時にピクッと肩を震わせてしまった。
反応は小さなものだったと思うのに、後ろで優月がクスッと笑うのが聞こえる。


「俺の指、くすぐったい?」


少し低めた声で聞かれて、私は慌てて首を横に振った。


「ご、ごめん。大丈夫」


そう答えながら、意識的に胸を張って背筋を伸ばす。
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