熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「ああ、うん。まあ……」


あくまでも業務上のパーティーの場で、『恋人だけどね』と言うと説明が面倒だと思ったのか、優月は特に否定せずに軽く受け流すような返事をした。


「……へえ」


それを聞いて、マリーさんは私と優月を窺うように、交互に視線を向けてくる。
彼女の青い瞳に観察されると、やっぱり居心地悪い。
肩を縮める私に気付いたのか、優月が一歩私の前に出た。


「そんなことより、マリー……」

「プレジデントのスティーブに挨拶する? いいわ。行きましょう」


マリーさんは優月の呼びかけをあっさりと遮ると、いきなり彼の腕を取って胸元に抱え込んだ。
彼女のはちきれそうな胸が、優月の腕にギュッと押しつけられる様を目の前にして、私は思わず息をのんだ。


「……マリー」


優月はマリーさんの行動を咎めるように、目を伏せながら彼女を睨んだ。
彼が抱き締められた腕を引き抜こうと努力しているのは、私にもわかる。


けれど、そんなことより。
マリーさんが、優月の耳元で内緒話のようにコソッと告げた言葉を聞き拾って、私は一瞬動けなくなった。


「アヤノに気兼ねする必要もないんでしょ。ねえ、今夜、久しぶりにどう? 私、帰国便明日に変更するわよ?」


英語は得意じゃないけど、聞き取ることはできる。
だからマリーさんの言葉の意味もちゃんとわかってしまって、私はグッと唇を噛んだ。
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