熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「ふふっ。まあ、優月の過去の女に嫉妬して、激情に駆られる綾乃ちゃんを見せられちゃ、はっきり断られなくてもわかるけどね」

「激情……」


またしても、いつもの私の辞書にはない言葉を耳にして、私の胸にはよくわからない動揺が走った。


「それで綾乃ちゃんが大泣きするのも見たくないし……」


進藤さんは一度大きな息を吐いてから、胸の前で腕組みをして私を優しく見下ろした。


「考えてみたら俺の方も謝ってなかった。……汚い手を使って、綾乃ちゃんのファーストキスいただいちゃったこと」

「っ……」

「綾乃ちゃんも、もうあれがわざとだってことは、わかってるよね? だからこれは、罪滅ぼしのつもりで」


思わず言葉に詰まる私の前で人差し指を翳し、進藤さんは悪戯っぽく微笑んだ。


「その『マリーさん』に怪我させた経緯。俺の前で言ったこと、全部ちゃんと優月にも伝えること」

「えっ。で、でも……」


自分でも理解不能で醜いと思うのに。
躊躇する私に、進藤さんは眉間に皺を寄せた。


「『でも』じゃない。その方が優月を喜ばせることできるはず。それと、ついでに……」

「ついでに?」


首を傾げながら聞き返す私に、進藤さんはそっと耳打ちしてくる。


「……優月の欲情した顔、見れるかもよ」


その言葉に、私の胸がドッキンと大きく跳ね上がった。
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