熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「あ。優月にって言うなら、本当に今日はダメですよ。優月、今日は穂積会長の補佐に呼ばれて外出で……」

「そういうことを言ってるんじゃないわよ。だいたい、この程度の捻挫なら、部屋の中くらい松葉杖を使えば自分で移動できるわよ。なんであなたも優月も、馬鹿正直に私の言いたい放題を受け止めて、『自分でやれ』の一言を言わないの」


そう言い捨てて、マリーさんは呆れたと言うより蔑んだような目を私に向けてくる。
私は黙って口を閉じた。


優月はともかく、私はもちろんそう思った。
だけど怪我をさせたのは私だ、『自分でやれ』の一言で済ませてはいけない。
マリーさんが手助けを求めるのなら、それは応えるべきだろうと思う。
……もちろん、彼女が私にしてほしいわけじゃないとわかっていても。


「本当に自分でできるくらいまでに治ったら、もちろんそう言わせてもらいます」


だからそれだけ言って、今日一日もお手伝いは続けるつもりだと主張する。
それを聞いて、マリーさんは眉間の皺を深めて溜め息をついた。


「アヤノは腹立たしいくらいお堅いマジメないい子ちゃん。……アヤノのせいじゃないのは、あなたが一番わかってるじゃない」


どこか投げやりな調子でそう言われ、私はゆっくり身体の向きを変えた。
ドアに背を預けて、ベッドの上で膝を抱えているマリーさんに真っすぐ視線を向ける。
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