熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「でも……なんでアヤノが私にヤキモチ妬くのよ。妬ましかったのは私の方よ。ずっと、ずっと」

「え?」


いつもみたいに小バカにするか、皮肉るか、それとも呆れるか。
そんな言葉を予想していたから、マリーさんが発したそんな言葉に、私は一瞬戸惑った。


「ユヅキにとって、アヤノは何よりも誰よりも最優先。……私はいつも、ユヅキがあなたをどれだけ大事にしてるか、見せつけられてたわ」


マリーさんは、ゆっくりと自嘲気味に呟いた。
彼女の青い瞳が、寂し気に揺れるのを見て、私の胸がズキッと痛む。


「私がユヅキに会うのは、パーティーで日本に来た時だけ。だから一番楽しみな仕事だったわ。だけど……その前に必ず、彼にエスコートされるアヤノとも会うのよ」


マリーさんはそう言って、顔を俯けた。
足元にかかっていた毛布をギュッと握り締めている。


「初めて会った時は、子供っぽくてお人形みたいな子って思ったわ。こんな許嫁じゃ、ユヅキも物足りないわね。そりゃあ他の女に手出すわよ。……って負けてる気もしなかった。でも、会う度に、ユヅキがあなたを見る目が変わっていくのよ」


長い綺麗なブロンドの髪が頬に落ち、私には彼女の表情が見えない。
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