熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「あ? なんだ、親父?」


優月の声は不機嫌たらたらだったけど、私はその言葉にビクッと身体を震わせた。
優月と電波で繋がっている先に、穂積グループの会長がいると知ってしまったら、背筋を伸ばさずにはいられない。
だけど、優月と私の会長に対する意識は絶対的に違う。


「急用じゃなきゃ明日にしてくれ。こっちは取り込み中……」


彼は私に背を向けたまま、会長の言葉に耳を傾けながらボヤいた。
そして。


「……え?」


短く聞き返す声に、確かに緊張感が走るのを感じた。
それを聞いた私にも、彼の緊張が伝播する。


「わかった。すぐ行く」


優月はそう言いながら、既にしっかりと床に足をついて立ち上がっていた。
同時に電話を切るその背に、私は顔を上げて呼びかける。


「優月、どうし……」

「金曜日。マリーが怪我した事故。週刊誌にスクープされた」


私が訊ね終える前に、優月は短く淡々と答えてくれた。
その言葉に、私の心臓が嫌な音で打ち鳴り始める。
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