熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
日々仕事に追われていれば、一年なんてあっという間。
まさに今の今までそう思っていたけれど……。


「……クリスマス、かあ」


もう見えないスーザンの背を思い浮かべながら、私はぼんやりと呟いた。
私がここに来なかったら、今頃優月と日本でクリスマスを楽しめたのかな。
優月の姿を思い浮かべて、私は強く『寂しい』と思った。
なんとなく一人でこのまま帰りたくなくて、デスクの傍らに立っているマリーさんにそっと目を向ける。


「……あの、マリーさん」


「ん?」と目線だけで見下ろされる。
思い切って真っすぐ背筋を伸ばし、私はマリーさんを見上げた。


「マリーさん、この後何か予定ありますか?」


せめて一緒に食事でも、と誘うつもりで訊ねたのに。


「あるわよ、もちろん。クリスマスだもの、当たり前じゃない」


シレッと速攻で返事をされて、私もグッと言葉に詰まった。


「ですよね……」


地味に打ちのめされた気分で大人しくデスクに向き合い、今取りかかっている仕事を終わらせようとした。
急いで終わらせても、家に帰れば一人だけど。
せっかくのクリスマス休暇だ。
一人なりに、満喫しよう。


「……アヤノ、予定がなくても、残業はほどほどに。今日は真っすぐ帰りなさいよ」


そう言ってデスクから離れていくマリーさんを見送って、私は少し気合を入れた。
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