熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
私は声をあげながら、小走りで優月に駆け寄っていた。
私の驚き様に、彼は「ん?」と訝し気に首を傾げる。


「あれ。俺、今日寄っていくって言ったはずなんだけどな」

「え?」

「ちょうどこっちで仕事が入ってて、早めに終わったから。イブだし、綾乃のアパートに寄るって。……あ。マリー、伝えてくれなかったのか」


自分で説明しながら、優月は答えを見つけたように口元を手で覆い隠した。


「なんの意地悪だ……。綾乃が今夜出かけてたら、俺はここで待ちぼうけじゃねーか」

「あっ。でも、マリーさんは私に、真っすぐ帰れって……」


お互いに、マリーさんを思い浮かべながら放った言葉が、そこで妙に合致する。
私も優月もそれに気付いて、思わずクスッと笑っていた。


「マリーなりの気遣い。……サプライズってことか?」

「うん。きっと。……来週会ったら、お礼言っておきます」


そう言いながら、そっと視線を合わせた。
それまでの明るい笑顔を消して、少し寂し気な表情を浮かべた優月に、私の胸がトクンと騒ぎ始める。


「元気そうで良かった。……逢いたかった、綾乃」


そう言いながら、優月は抱えていたバラの花束を私に差し出した。


「改めて、メリークリスマス」

「……ありがとう、優月。私も、すごく逢いたかった……」


優月の手から花束を受け取って、私もほんの少し泣きそうになりながら微笑んでみせた。
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