熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
十畳のリビングに、ツーベッドルーム。
いつもは一人だし、必要以上に広い私の部屋。
なのに優月がリビングの真ん中に立っているだけで、何故か狭く感じる。


この一ヵ月半で慣れたはずの部屋なのに、私はものすごい違和感を覚えながら冷蔵庫を覗き込んだ。
けれど、ロスに来てから残業続きで、まともに料理もできずにいたのが現実。
冷蔵庫の中に調理できるような食材もなければ、私にすぐ作れるような料理のレパートリーもない。


「ご、ごめん、優月。作れる物が、何もない……」


肩を竦めながらそう言って、優月を振り返る。


「いいよ、別に。そこは期待してない」


多分、未だにまともに料理できないのは、お見通しだったんだろう。
優月はクスッと笑って、スーツの上着を脱ぎネクタイを緩めている。


目にした途端、ドキンと胸が跳ねる。
見慣れた仕草のはずなのに、私の胸は意味不明に高鳴った。


「……綾乃?」


私の視線が不躾過ぎたのか、優月はネクタイを解きながら小首を傾げた。
私は何も返事できないまま、ただ優月を見つめ続ける。


クリスマスイブに一人ぼっち。
ロスに来てからずっと、胸から消えることのなかった寂しさを、今夜は特に強めていたせいだろうか。
優月に逢いたいって想いを深めていたせいだろうか。
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