熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
今こうして、優月が私と同じ空間にいる。
手を伸ばせば届く距離にいる。
ただそれが嬉しくて堪らない。


「寂しかった。逢いたかった、優月っ……」


迸る熱情を抑えることなく、私は声を掠れさせながら叫んだ。
ちょっと驚いたように大きく目を見開いた優月が反応を返す前に、私はその胸に体当たりするように抱きついた。


彼の胸に顔を埋め、「うー……」と唸りながら肩を震わせる。
優月は私の背に腕を回して、抱き締め返してくれた。


「……良かった。綾乃のメールからも、お目付け役のマリーの報告からも、『元気に頑張ってる』様子しか窺えなかったから」

「え?」


ボソッとした声を聞いて、私は優月の胸からそっと顔を上げた。
優月は少し不貞腐れた様子で、片手でポリッとこめかみを掻く仕草を見せる。


「頑張ってるの、頼もしく思いながら、鳥籠から小鳥を空に還した気分。……俺がいなくても平気なのかよ、って、ちょっと悔しい気持ちもあった」

「優月?」

「……俺の方は、綾乃を見送った後、しばらく何をするにも放心状態で。綾乃が側にいない日常っていうの、受け止められずにいたからさ。……俺の方が、籠に置き去りにされたみたいだった」


そう言って、優月はどこか照れ臭そうに微笑んだ。


「二十五年も一緒だったせいかな。たったの一年って言われても、俺にはすごく長くて。しかもちゃんと恋人になれた途端、いきなり遠距離とか。……耐えらんねえ」
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