熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「俺だってしたくねえ。第一、俺がダメで、進藤のことは前向きになれる意味がわからねえよ……」


優月は不機嫌に言い捨て、額に手を当てたまま、ふらふらと足を室内に運んだ。
その足が私のベッドを軽く掠め、彼は脱力したようにドスッと腰を下ろす。
私はそんな優月にちょっと驚きながら、そっと彼に近寄る。


「優月……?」


優月が返事をしないから、恐る恐る手を伸ばしてみる。
焦げ茶色の柔らかい髪に触れた。
ほんの少し、優月がピクッと動いた。


「……触るな」


短くくぐもった声に怯んで、私は慌てて手を引っ込めた。
けれど優月が俯いたままだから、少しだけ間隔を空けて隣に腰を下ろした。
私のお尻の下で、ベッドがギシッと軋む。


「……私のことなのに。なんで優月が怒ってるの?」


小さな声で呟くと、優月が小さく肩を震わせて反応した。
頭を抱えたまま、わずかに首を捻って私に横目を向けているのがわかる。


「お前が無防備で危なっかしいからだろ」

「そんなことないもん。私なりにちゃんと慎重に考えてる」

「……どうだか」


優月は舌打ちしながらそんな声を漏らし、両腕で頭を抱え込む。
そんな優月をジッと見つめて、私はお尻をずらして彼との間隔を狭めた。
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