月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「鬼の目を貫く? 天音だったら大鎌(おおがま)で首を刎(は)ね飛ばすぞ」
「ワタナベ姓でも連れて来れば?」
「……渡辺綱(わたなべのつな)殿が現代にいたら、紅緒様と喧嘩してそうだ」
有名な、ワタナベ姓は節分に豆まきをしない、は、源頼光(みなもとのよりみつ)の家臣であり、渡辺姓の祖と言われる渡辺綱(こちらも先祖が嵯峨源氏の源融だから、元は源綱(みなもとのつな))が、酒呑童子(しゅてんどうじ)や茨木童子(いばらきどうじ)といった鬼を、髭切(ひげきり)――別名・鬼切――で斬ったから、というのがある。
鬼の方がワタナベという名前に恐れをなすらしい。