月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
《言ってやるな。無炎》
っと、珍しく無月(むつき)が喋った。
やや呆れ気味に。
この無月、面立ちは黒と無炎とそっくりなんだが、よく喋る二人と違って寡黙(かもく)だ。
無炎のように人型をとることはなく、あまり顕現(けんげん・姿を見せること)することもない。
《天音を連れて来なかっただけ感謝しろよ? 黒坊》
無炎がまた余計なことを言う。
天音は俺の最初の式で、俺に対してかなり過保護だ。
「俺は天音にも逢いたいんだけどなー」
「やめておけ。首刎(は)ねられる」
ガチでな。
天音はそのくらい、黒に対して攻撃的だ。