月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「冬芽――と呼んでいいのか?」
俺が問うと、般若の面は肯いた。
「構わない。俺たちから貴殿(きでん)らに危害を加えない約定(やくじょう)の代わりだと思ってもらえれば。俺は御門の主と呼ばせてもらうが、よろしいか?」
「……ああ」
自分は名前で呼ばれて、俺や黒のことは地位で呼ぶ。
対等ではなく、自分たちを下に置いたやり方だ。
どうしても解決したい問題でも抱えているようだな。
「それで、黒への依頼に他流派の俺が関わっていいのか?」
「俺たちに人間の流派は関係ない。俺が頼った小路の若君が頼ったのが、御門の主だったというだけだ」
「……で? 依頼内容は?」
からっとした対応の冬芽。
話しやすいと言えば話しやすいが、気を抜いて言質(げんち)をとられないようにせねば。