月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】


「……そう出来たら、とは思うが……」
 

心底では、そう望んでいるのか。


「だが、彼女は霊体だ。いずれはここではないどこかへ行かなければならない。それに、『あの子に逢いたい』という言葉を発しているなら、人間であったときの自我もあるんだろう。俺と一緒に生きるために鬼になってくれ、なんて言えない」


「………」
 

……黒と意気投合するだけはある、か。


性根の優しい奴のようだな。


「まあ、早く妻を娶(めと)れっていう一族からの圧力はどうにかしたいけどな」
 

……早く当主を継げといわれているヤツが、確かいたなあ。


「なら、桃子の心残りの解決が依頼ということでいいのか? その先の決定権は、桃子にあるという前提で」
 

冬芽は、少し黙った。


やや置いてから、「そうだ」と返事があった。
 

……未練は断ち切れていないようだな。

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