樫の木の恋(中)



しかし愛する秀吉殿を感じられたのも束の間。

「半兵衛には感謝しておるよ。胸を触られるだけで、恐怖で包まれていたわしを、お主のお陰で忘れられた。そりゃ思い出したりするが、以前よりは大丈夫になった。」

次の発言で全てが崩れた気がした。

「ふふっ。半兵衛のおかげで、体がそこまで恐怖を覚えん。今川家にいた頃のように自らの女としての武器を使えるようになった。まぁ半兵衛が慣れさせてくれれば、そういうことも出来るようになるのではと思っていたのが、ぴたりと嵌まったな。」

「は?」

「まっわしは容姿はいい方じゃからなぁ。今の立場と相まって興味を持ってくれる奴は多い。お陰で懐柔しやすくなったというものよ。」

このお方はずっとそんなことを考えていたのか?
それがしだけが体の関係を持つことによって、純粋に愛を確かめ合いたいからと思っていただけなのか?

このお方にとってそれがしは道具のようなものなのだろうか。今までの何を信じれば良いというのだろう。

「秀吉…殿…?本気で言っておられるので?それがしのお陰なのだと…?」

「ん?ああ。体を触られても平気になったのは大きいわな。たぶらかしにも幅が出ると言うものじゃ。」



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