樫の木の恋(中)
秀吉は触っていた三成の頬を軽くつねる。
そんな秀吉を三成はゆっくりと抱き寄せた。
「殿は嫉妬という感情が無いのですかねぇ?今、こうしているのも竹中殿には辛い事なのですよ?」
「三成は嫉妬をするのか?」
三成はゆっくりと秀吉に口付けをした。いつぞやかにした口付けは、涙で濡れていたが今は違う。
たった一時だけだが、応じてくれるのがこんなにも幸せなのかと三成は感じていた。
「……しますよ。毎日、竹中殿が羨ましくて仕方がないのです。」
言い終わるともう一度二人は口付けを交わした。
柔らかい秀吉の唇を三成は堪能していく。
唇を離すと、秀吉の顔が少し蒸気していた。それは色っぽさがあり、こちらの心をぎゅっと掴んで離そうとはしない。
「殿…そのような顔をされては、それがしは我慢出来ません。」
「ふふっ。少し触る程度なら構わんが、最後までは出来んぞ?」
「そんな生殺しのような事、我慢出来るか怪しいです。」
そう言いながら秀吉の首元に顔を埋める三成。滑らかなその肌は、顔にあたるだけで気持ちがいい。
「殿…それがしは殿が好きです。」
「ん…知っちょるよ。」
「それがしは我慢しますよ?殿が上に上がるためにどのような事をしたとしても。何も言いませぬ。」
三成がそう言うと、秀吉は寂しそうに笑った。
「半兵衛も我慢…させてしまってるよな。やはり私では半兵衛に釣り合わんよな…。こんな穢れた女など。」
ぼんやりと秀吉が呟くのが聞こえた。
三成は小さくため息をつき、秀吉の首元から顔を離す。
「殿…竹中殿に疲れたら、辛くなったのなら、それがしの所へ来てくだされ。それがしは全て受け止めます。それくらいの覚悟はありますから。」
「ふふっすまんな。半兵衛の事を思い出してしまった。三成、ありがとうな。」
そう言ってもう一度口付けをした。
三成はそれ以上はしなかった。やはり手に入れたいと思ってしまったからだった。