大好きだった先生は今日も私を起こす

最後の水曜日








もう、今日で、終わりなんだ。





ふたりきり、








重たい扉を開けると先生が待っていた







「よっ。はよ」




「...おはよ〜」




「さ!映画見るぞ!」





「はっ?」






最後の授業は、特別授業と言っていたけど、そういうことか...








二時間、ふたりで映画を観た。











ふたりきりなのに、なぜか先生は私の後ろに座っていた。







寒さを感じる季節なのに、
先生が後ろにいるせいか背中が熱い。








「なぁ...」




突然先生が私の耳元で優しく喋りかけた







「!!!な、なに!!」




「俺の授業だけ遅刻も欠席もしてないな、お前」



「そ、それは...」




「えらいぞ。次は月曜日だな」






そう言い残し、授業は終わった。





















先生の後ろ姿を目で追った








「せんせ...わたし...」










聞こえるはずのない私の声が聞こえたのか、遠くにいる先生は振り向く







そして、手を振った











「好きだよ...」














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