大好きだった先生は今日も私を起こす








ディズニーのチケットが二枚入っていた。






「こ、これ...」


「うん。行ってこい」



違うよ違う、そうじゃなくて...


「一緒に行こうよ...」



そういう意味じゃ、ないの...?



「わ、わかった。けど、四月になったら、な?」




と話していると




トントンッ



「「だれ」」




「もうすぐ、こちらの棟も消灯しますよ」


と、鍵閉めの当番の先生が現れた。





気づくと外は真っ暗で、卒業式が終わってから二時間が過ぎていた。





「そろそろ帰るかぁ...」


携帯を見ると、うこたちから鬼のような電話が...





「先生、最後だよ。下駄箱まで、送って」



「そっか、もういないんだな。わかった」



最後の最後。
本当に、最後。


ふたりで、暗い廊下を歩き下駄箱へ向かう。






靴を履いている私を見て


「こうやって、どんどん送り出していくんだな俺ら」




私もちゃんと先生から卒業しよう。




「先生、こっち向いて」



「なんだよ」




「ん」

そう言い手を広げた


「最後だから、もう会えないから、いい?」



「なんだよそれ...誰か来たらどうすんだ...」




なんて言いながら先生は私を抱きしめた。





ブーッブーッ



「ほら、うこたちだろ。待ってるよ」


「うん...ごめん...」


「泣くなよー!!行ってらっしゃい」



背中を押す先生、



ちょっと泣きそうだったのかな...?





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