大好きだった先生は今日も私を起こす
ひーくんとタロウちゃんと下駄箱へ向かっているとき
突然
ひーくんが
「イヤホン〜!!」
そう叫ぶと、タロウちゃんが笑う
...イヤホン?なにそれ?笑
ひーくんとタロウちゃんの目線の先には
あの、白いジャージの先生がいた
「ど、どういうこと...」
戸惑いながら先生の近くへ向かう
「先生ね、この前会った時イヤホンぶんぶん振り回してたの」
そう笑うタロウちゃんに
「ぶんぶんはしてないわ」
先生の声。
初めて聞いた
優しくて、少し高い。
初めてこんな近くに立った
柔軟剤の良い香りがした。
この日から私もタロウちゃんたちと一緒に先生をイジリ始めた。
「あっ、イヤホン〜!!」
先生を見つけると、そう言い駆け寄って
「お前まで!? も〜」
そう言いながらも笑う先生。
その笑顔を見て安心した
つまんなそうにしている姿を見なくなって嬉しくなっていた。
あれから先生と大の仲良しになった私達。
先生たちの中で一番年下で、生徒と一番年齢が近い先生。
いつの間にか私の中の先生のあの近寄り難いイメージは消されていた。